脂肪酸は大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、それぞれの脂肪酸によってどの食物に多く含まれているか、またそれぞれの脂肪酸の持つ役割が異なります。
さらに脂肪酸の中には直接食べ物から摂取しなければ得ることができない「必須脂肪酸」と、必ずしも摂取する必要がない脂肪酸があります。
飽和脂肪酸とは、肉類や乳製品に主に含まれる脂肪酸です。
一般的に、コレステロールの上昇や肥満、その他過剰摂取することで、健康に被害を及ぼすとされている脂肪分とは、この飽和脂肪酸にあたります。
飽和脂肪酸は、代謝の過程で『アラキドン酸』という物質に代わります。アラキドン酸は、炎症を引き起こす物質、『プロスタグランディンE2』に変換されます。この『プロスタグランディンE2』は、オメガ3系脂肪酸から変換される『プロスタグランディンE3』という物質と対極の効果を持ちます。
特に、皮膚炎や関節炎などを持つワンさんの食事を考える際重要な点は、飽和脂肪酸を多く摂取する(=肉類の多い食事を摂らせる)ということは、脂肪酸としてはオメガ3の摂取量を増やさなくてはならないという事です。
魚主体のフードやお食事の場合、魚の脂はDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸(αリノレン酸)より派生している脂肪酸の為、バランスが比較的取れていることが多いです。
脂質構成だけの話をしてしまうと、肉類主体のフードは飽和脂肪酸が多いのであまり良くないように思えてしまうかもしれませんが、肉類のアミノ酸構成は非常に素晴らしく、犬達の生命活動(生きる上で必要な活動)に重要な意味を持ちます。良し悪しは、一側面だけで判断するものではありませんので、脂質構成のみで肉類を【悪】としてしまうのは、あまり好ましく有りません。
ただ、飽和脂肪酸には、これといって特に摂取するメリットがある訳ではありませんので、フードの場合、カロリーを一定に抑えるという目的からも、意図的に脂質の少ない部位を使用して製造されますが、手作り食の場合には、脂身を除去する等の一手間かけてあげると良いかと思います。