タイトル見出し:アレルギーの診断

フード イラスト:注射器とカルテのイラスト

アレルギーかな?と思ったらアレルギーの検査を受けることになるかと思います。
そこで そんな時に気をつけたい事柄をいくつかご紹介します。

よくある間違い

アレルギーの診断と聞くと、多くの方が抗体価検査を思い浮かべることと思います。抗体価検査とは、血液を採取し、それぞれのアレルゲンに対してIgE抗体の産出量を測定する検査です。

犬のアレルギーに対する関心が高まるにつれ、アレルゲン特定の為に抗体検査を行われる方が増えたように思います。
抗体検査の結果を手にすると多くの方が、『大変!こんなにいっぱいアレルゲンがある!』とパニックになってしまいがちです。でも、実際はそうとも限らないのです

実際、アレルギー症状の全く無い犬であっても、ある程度年(5、6歳)がいっている子の抗体価検査をすると、大量の陽性が出ることがほとんどです。でも、 症状は一切無いのです。恐らく、ほとんどの犬が感度の高い抗体検査を受けることにより、いくつかのアレルゲンに対して陽性結果が出ると思います。

 

抗体検査で陽性=アレルギー症状の原因物質ではない

では、抗体検査はインチキなのか?と思われるかもしれませんが、前項『アレルギーとは?』で記したように、IgE抗体の数値の測定はアレルギーのメカニズムに沿った、理にかなった検査方法です。

しかし、抗体検査は2つの理由で単独ではアレルゲンの完全な特定には至らないのです。

ひとつは、抗体検査はいくつかの会社によって提供されていますが、それぞれが異なる感度での検査である為、感度が高い検査会社の抗体検査にかけると、ほとんどの犬が多量の陽性反応を出すという事実。
もうひとつは、感度の低い抗体検査で高いIgE値が出ても、アレルギー症状が全く起こらない(皮内反応検査では陰性が出る)ことが多々あるるという事実です。

抗体検査は、アレルゲンを特定するのではなく、『ある程度まで絞り込む』ために大変有効な検査方法なのです。

 

アレルゲンの特定

では、アレルゲンを特定する為には、どのような検査方法があるのか?というと、最も有効な方法は皮内反応検査だと認識しています。これは、抗原液を注射して、反応を膨疹の大きさによって抗原の特定を行う検査方法です。

ありとあらゆる抗原を、皮内反応検査するのは現実的ではありませんが、抗体検査で絞り込まれたアレルゲンのみであれば可能だと思います。
ただ、胸部の毛を刈らなくては出来ない検査であることと、アレルゲンの注入を行うのですから、強いアレルギー反応が予測されますし、ワンさんへのストレスもかかる方法ではあると思います。

この他に、食物アレルギーのみに限った場合には、除去食によってアレルゲンの特定を行うことも可能ですが、この場合抗体が関与するアレルギーだけではなく、抗体が関与しない食物過敏症全般の原因となっているアレルゲン以外の食材も一緒に引っ掛けてしまう為 、厳密にはアレルゲンの特定とは若干異なります。

除去食による特定の場合、抗体検査の結果などを元にしてアレルゲンを全く含まない食事を一定の期間与え、アレルギー症状や食物過敏症症状が起こらなくなったことを確認した状態で、アレルゲンと予測される食材を1つずつ与えてその反応を見ます。

低アレルギーフードの考え方のベースは、基本的には除去食の考え方を基本としています。その為、低アレルギーフードを利用して、アレルゲンを特定することが可能な場合もあります。

 

アレルギーと安易に判断される現状

それ以前の問題として、ここ最近のアレルギーの診断は、あまりにも安易に出されることが多い様に思えてなりません。
皮膚炎を見るや否やアレルギーと診断し、ステロイドを処方されたというお声をあまりに多く伺います。そうでない場合でも、抗体価検査をアレルギーの確定診断に利用してしまうパターンはあまりにも多い様に思います。

日々、お客様から頂くご相談を伺っていると、CBC検査(血球測定)すらせずにアレルギーにされてしまったり、一番私たちが恐れるのは、アレルギーではない皮膚炎、またはアレルギーと複合で起きている甲状腺機能低下症など、もっともっともっとシビアな疾患を見落とされることです。
この場合、ステロイドが肝臓で解毒出来る量の計算もされずに処方され、飲み続ける内に一時的な回復はあっても、結果的には以前より酷い症状になります。そしていざ、甲状腺機能が原因であったとわかった時には、もう少量のホルモン剤では効果がでなくなっていたりするのです。
他にもステロイドをむやみやたらに投与された結果、医原性のクッシング症を引き起こす事も有ります。

こういった悪循環に入ってしまった子を、本当に驚くほどたくさん見かける事は、私たちにとっても本当に本当に悲しいことです。